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煩悩の赴くまま。

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 ところで、古めかしい俗称で呼ばれていたが、カバン師たちの年齢は若い。
 当時の年の頃で、20代後半か、30代前半の若者がほとんどである。
 彼らの多くは、ゲームソフトの二次問屋、零細な流通業者をスピンアウトした経歴の持ち主が多かった。

 彼らは若い。若いからゲームの良し悪しをまっとうに判断できる。
 なのに、彼らの元上司ときたらどうだ。流通業のボスたちは、甘い判断をする。若い彼らにしてみれば、上司の的外れな商品選択は、「桜切る馬鹿、梅切らぬ馬鹿」に思えてしかたなかったのである。
 
 そこで彼らのうちの誰かが、独立して自分の商売をはじめた。ゲームソフト流通の盲点をついて、発売元在庫の直取引をはじめることにしたのだ。在庫専門の流通業という呼び方もできるかもしれない。

 だが、若くて組織に属さない彼には信用がない。だから彼らは、カバンにはち切れんばかりの現金を詰め込むことにした。
 仕事に不満を持った若者たちは、
 不自然な流通機構を疑問に思った若者たちは、
 おかしな判断基準を鼻で笑った若者たちは、カバン師となったのだ。
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